フロアコーティングの食品衛生法規格試験|安全性の根拠の確かめ方
「床をなめても安全」といった表現を見かけることがある。その根拠として、食品衛生法規格試験の成績書まで確認できるかどうかが大切だ。
子どもがハイハイし、ペットが床を舐める。そのような生活環境において、コーティング剤から有害物質が溶け出さないかどうかは、気になる点だ。「安全」という言葉を信じる前に、根拠となるエビデンスを確認することが重要だ。
この記事では、フロアコーティングと食品衛生法規格試験の関係、試験で何がわかるのか、そして試験成績書で確認したい点を解説する。
この記事でわかること
- 食品衛生法規格試験とはどんな試験か
- 試験結果の「限度内」が意味すること
- 試験成績書で確認したいこと
- 信頼できる業者を選ぶための確認ポイント
食品衛生法規格試験で見るフロアコーティングの安全性の根拠

フロアコーティングの安全性を確かめるときは、「安全」という言葉だけでなく、根拠となる試験成績書を確認したい。
「なめても安全」といった表現を見るときの注意
「子どもにも安全」「ペットにやさしい素材」といった表現は、フロアコーティングの案内で見かけることがある。
しかし、この表現には明確な定義がない。「安全」と言っても、どの試験機関が、どの規格で、どの項目を検査したのかが示されなければ、根拠として成立しない。案内を見るときは、試験機関・規格・検査項目が示されているかを確認しよう。
根拠のない安全表記が問題となる理由
フロアコーティング剤は、硬化後に床材の表面で長期間使い続ける建材の一種だ。子どもやペットが直接触れる場面が多いうえ、熱・摩擦・洗剤との接触によって成分が溶け出すリスクも考慮しておく必要がある。
そのため、「安全」と言うためには、有害物質の溶出を第三者機関が試験で確認した成績書が根拠になる。その一つが、食品衛生法の規格基準を準用した試験である。
食品衛生法規格試験とは何か

食品衛生法規格試験とは、コーティング剤から有害物質が溶け出さないかを確認する試験だ。フロアコーティングでは、「食品、添加物等の規格基準」(昭和34年厚生省告示第370号)第3のD-2、合成樹脂製の器具・容器包装に関する規格を準用して試験する。経口での毒性を評価する試験ではない。
食品衛生法規格試験の根拠となる法令と規格
この試験規格は、食品に直接触れる容器や器具に使われる合成樹脂素材が、有害物質を溶出しないことを確認するために設けられた基準だ。もともとは食品容器・包装材向けの規格だが、フロアコーティング剤の評価に準用して試験することがある。
なぜなら、フロアコーティング剤も合成樹脂を主成分とする材料であり、床面に硬化した状態で長期間使用されるからだ。合成樹脂の溶出を確認する規格を準用することで、材料からの溶出を確かめられる。
何を調べる試験なのか
試験は大きく「材質試験」と「溶出試験」の2種類に分かれる。それぞれ以下の項目が確認される。
| 試験の種類 | 検査項目 | 何を確認するか |
|---|---|---|
| 材質試験 | カドミウム・鉛 | 材料そのものに有害な重金属が含まれていないか |
| 溶出試験 | 重金属 | 液体と接触したときに重金属が溶け出さないか |
| 過マンガン酸カリウム消費量 | 有機物が溶出しないか(材料の安定性の指標) |
特に溶出試験は、硬化したコーティング剤が液体と接触したときの安全性を評価するものだ。実際の床面への使用環境に近い条件での検証が行われる。
「床に塗るコーティング」になぜ食品衛生の試験が使えるのか
食品衛生法の規格試験は、もともと食品容器向けの基準だ。床材への適用については、法的な義務ではない。しかし、この試験を自社製品で実施・公開しているということは、「食品容器向けの規格基準を準用して、溶出を自主的に確認した」ことを示す。試験の内容と結果が公開されていれば、利用者が根拠を確かめやすくなる。
食品衛生法規格試験の結果で何がわかるのか|検査項目の読み方

試験成績書には、難しい化学用語が並んでいる。ここでは、M&Mが一般財団法人 日本食品分析センター(JFRL)に依頼したセラミックガラスコーティングの試験結果をもとに、各項目の意味を解説する。
材質試験:カドミウム・鉛の検査結果
材質試験は、コーティング剤そのものに有害物質が含まれていないかを確認するものだ。カドミウムと鉛は、いずれも健康への影響が知られている重金属だ。
M&Mのセラミックガラスコーティングは、この2項目について「限度内」の結果を得ている。材料に含まれる重金属が規格基準の限度内であることを、第三者機関の試験で確認している。
溶出試験:重金属・過マンガン酸カリウム消費量
溶出試験は、硬化したコーティング剤が液体と接触したときに有害物質が溶け出さないかを確認するものだ。実際の床面への使用環境に近い条件で試験が行われる。
重金属の溶出試験では「限度内」の結果を確認している。過マンガン酸カリウム消費量は実測値4.6μg/mlで、こちらも「限度内」だ。この項目は、硬化後のコーティング剤から溶け出す有機物の量の目安になる。
「限度内」が意味すること
試験結果の「限度内」という表記は、食品衛生法が定める基準値を超えていないことを意味する。これは「まったく検出されなかった」わけではなく、「規格基準で定められた値を超えていない」という意味だ。
重要なのは、この判定を第三者の試験機関が行っていることだ。日本食品分析センター(JFRL)は、試験番号が付いた成績書を発行する。試験番号(第18139934001-0101号)が記載されていることで、どの試験の結果かを確認できる。
食品衛生法規格試験の成績書で確認したいこと

食品衛生法規格試験の成績書を確認するときは、施工を依頼する前に、以下の視点で見ておきたい。
「安全基準クリア」の表記だけでは不十分な理由
「安全基準をクリアしています」「無害な素材を使用しています」といった表記を見かけることがある。しかし、この表記だけでは以下の点が不明だ。
- どの試験機関が実施した試験か
- どの規格・法令に基づく試験か
- 試験の対象となった製品名は何か
- 試験を実施した時期はいつか
- 全検査項目が合格しているか
これらが明示されていなければ、読んだ側には安全性を自分で確認する手立てがない。表記だけでなく、成績書で確認することが大切だ。
食品衛生法規格試験の成績書を確認するポイント3つ
試験成績書を確認する際、以下の3点を押さえることで書類の信頼性を判断できる。
① 試験機関の名称と認定の有無
日本食品分析センター(JFRL)などの第三者の試験機関が実施したものか確認する。聞き慣れない機関名の場合は、認定の有無を問い合わせることを勧める。
② 検体名と実際の施工製品の一致
成績書に記載された検体名が、実際に施工で使用する製品名と一致しているか確認する。「コーティング剤一般」ではなく、製品名が明記されていることが重要だ。
③ 試験規格と全項目の結果
適用した試験規格が明記されており、全検査項目の結果が「限度内」であることを確認する。一部の項目のみ開示している場合は、注意が必要だ。
業者に確認すべき質問リスト
見積もりや相談の段階で、以下の質問を業者に投げかけることを勧める。
- 食品衛生法規格試験の成績書を見せてもらえますか?
- 試験を実施した機関はどこですか?
- 施工に使用するコーティング剤と試験の検体名は一致していますか?
- 試験成績書をウェブサイトで公開していますか?
回答の内容や、書類を確認できるかどうかは、業者を比べる材料になる。
フロアコートプロのセラミックガラスコーティングの食品衛生法規格試験の結果

ここでは、フロアコートプロが実際に取得した試験成績書の内容を具体的に紹介する。
一般財団法人 日本食品分析センター(JFRL)に依頼した理由
M&Mが試験を依頼したのは、一般財団法人 日本食品分析センター(JFRL)だ。食品や食品に接触する材料の試験を行う機関だ。自社試験ではなく、外部の第三者機関に依頼している。
試験結果の詳細(全項目合格)
| 試験の種類 | 検査項目 | 結果 |
|---|---|---|
| 材質試験 | カドミウム | 限度内 |
| 鉛 | 限度内 | |
| 溶出試験 | 重金属 | 限度内 |
| 過マンガン酸カリウム消費量 | 限度内(4.6μg/ml) |
試験成績書の発行番号は第18139934001-0101号(2018年12月6日発行)。適用規格は食品、添加物等の規格基準(昭和34年厚生省告示第370号)の第3のD-2だ。全検査項目において「限度内」の判定を受けており、合成樹脂製の器具・容器包装の規格基準を準用した試験で適合を確認している。
この試験結果が住宅施工にどう活きるか
食品衛生法の規格基準を準用した試験で適合を確認していることは、子どもやペットが床に直接触れる住宅で、コーティング剤を選ぶときの根拠の一つになる。ただし、経口での安全性を示すものではない。
「安全です」という言葉だけでなく、第三者機関の試験成績書で確認できるかどうかを見ておきたい。フロアコートプロでは、品質・性能・機能のページでエビデンス一覧を公開しているので、施工を検討する前に目を通してほしい。
安全性以外にも確認したいエビデンスの種類

フロアコーティングの安全性を総合的に判断するためには、食品衛生法規格試験以外のエビデンスも確認しておくことが望ましい。それぞれの意味を以下に整理する。
| エビデンスの種類 | 確認できること | 特に重要な理由 |
|---|---|---|
| 食品衛生法規格試験 | 規格基準の限度内であること | 溶出に関する安全性の根拠の一つ |
| F☆☆☆☆(フォースター) | ホルムアルデヒドの放散量の区分(最上位) | 室内空気の化学物質の確認 |
| SIAA(抗菌製品技術協議会) | 抗菌・抗ウイルスなど、機能ごとの登録 | どの製品がどの機能で登録されているかの確認 |
| 引っかき硬度試験(JIS規格) | 表面の硬さ | 傷への強さを比べる指標 |
各コーティングの性能と安全性の違いについては、フロアコーティング5種類の比較の記事で詳しく解説しているので参考にしてほしい。
ペットや子どもへの滑り止め性能を重視する場合は、ワンニャンすべらんコーティングの性能エビデンスも確認することを勧める。安全性と機能性の両面で、根拠のある選択ができる。
施工業者を選ぶ際の品質基準として、日本ハウスコーティング協会(JHCA)への加盟状況も参考になります。保証引継制度などの条件は、協会の案内で確認しましょう。
食品衛生法規格試験に関するよくある質問
- フロアコーティングの食品衛生法規格試験とは何ですか?
- 食品、添加物等の規格基準(昭和34年厚生省告示第370号)を準用した試験です。コーティング剤から重金属や有機物が溶け出さないかを、試験機関が確認します。経口での毒性を評価する試験ではありません。
- 食品衛生法規格試験に合格していないコーティングは危険ですか?
- 必ずしも危険とは言えませんが、試験の結果で安全性の根拠を確認できないことになります。小さな子どもやペットがいる住宅では床に直接触れる機会が多いため、試験成績書の有無を施工前に確認しましょう。
- 試験成績書を持っているかどうか業者に確認する方法はありますか?
- 見積もりや相談の段階で「食品衛生法規格試験の成績書を見せてもらえますか?」と質問してみましょう。試験機関名・試験番号・全検査項目の結果が記載された成績書を確認できると、比べやすくなります。
※本記事内の一部画像はAIで生成したイメージです。
記事確認者:フロアコートプロ 施工課
最終更新日:2026年9月17日
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