フロアコーティング耐衝撃性試験|プロが教える完全ガイド
この記事でわかること
- フロアコーティングの耐衝撃性試験(JIS K 5600-5-3)の仕組みと判定基準
- デュポン式試験で何を評価しているのか
- エビデンスを本当に持つ業者と「謳うだけ」の業者の具体的な見分け方
- 試験書で確認すべき3つのチェックポイント
- 耐衝撃性試験と他の性能試験との関係・向かないケース
「耐衝撃性に優れたコーティングです」。こういった言葉を業者のサイトで見たことがある人は多いはずだ。だが、その根拠となるデータを実際に確認できた人はどれくらいいるだろうか。
フロアコーティングの耐衝撃性試験とは、コーティング塗膜がおもりの落下衝撃に対してどれだけ耐えられるかをJIS規格に基づいて数値化した試験だ。試験データのない「強い」という表現は自己申告に過ぎない。施工後のトラブルを避けるには、第三者機関が発行した試験結果報告書を事前に確認することが必須になる。
この記事では、耐衝撃性試験の仕組みと判定基準から、エビデンスを本当に持つ業者と謳うだけの業者の見分け方まで、職人の視点で解説する。
耐衝撃性試験(耐おもり落下性)とは何か

耐衝撃性試験(正式名称:耐おもり落下性試験)とは、コーティング塗膜に対しておもりを落下させ、その衝撃による割れ・はがれの有無を評価する試験だ。フロアコーティング業界で用いられる適用規格はJIS K 5600-5-3「塗料一般試験方法―塗膜の機械的性質―耐おもり落下性」である。
この試験が評価するのは「塗膜が衝撃を受けたときに割れないか、床材から剥離しないか」という点だ。引っかき硬度試験が表面の硬さを評価するのに対し、耐衝撃性試験は瞬間的な衝撃エネルギーへの耐性を評価する。両者は評価する性能軸が異なるため、どちらも確認することが望ましい。
試験は工業製品全般に適用される統一規格に基づき、第三者機関が客観的な条件のもとで実施する。これにより、異なるメーカーの製品でも同じ土俵での性能比較が可能になる。
デュポン式試験の仕組みと判定基準

JIS K 5600-5-3には「落体式」「落球式」「デュポン式」の3方式が規定されているが、フロアコーティング塗膜の評価ではデュポン式が主に用いられる。
デュポン式の試験手順
デュポン式では、先端が丸い撃ち型と、その丸みに合うくぼみを持つ受け台の間に試験片を挟み、規定の高さからおもりを落下させる。撃ち型と受け台の間にすき間がないため、エッジ部への衝撃と変形が同時に加わる構造だ。これが落体式・落球式との決定的な違いになる。
試験片は規定温度(23±2℃)・湿度(50±5%)の環境で条件を整えてから実施される。おもりの質量・落下高さは製品規格で指定された値を使用し、衝撃後1時間静置してから塗膜の損傷を目視確認する。
判定基準の読み方
試験片3枚のうち2枚以上で「割れ及びはがれを認めない」場合に合格となる。試験書には「おもりの衝撃で割れ及びはがれができない」という評価結果が記載される。この文言が確認できれば、試験をクリアしたコーティングだと判断できる。
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フロアコーティングに耐衝撃性試験が重要な理由

「傷に強い」「硬度が高い」。このような表現はフロアコーティングの説明でよく目にする。だが、硬度と耐衝撃性は別の性能だ。この違いを理解することが、コーティング選びの第一歩になる。
硬度が高くても衝撃に割れるリスクがある
一般的なガラスをイメージしてほしい。ガラスは硬度が高く傷はつきにくいが、衝撃を受けると割れやすい。フロアコーティングも同様で、硬すぎる塗膜は追従性(柔軟性)が低下し、瞬間的な衝撃エネルギーを吸収できずに割れる可能性がある。
耐衝撃性試験は、この「硬度試験では見えない衝撃への脆さ」を可視化するために存在する。耐摩耗性評価試験とも組み合わせることで、コーティングの総合的な塗膜性能をより正確に把握できる。
日常生活で起きる衝撃の種類
小さなお子様がいる家庭では、おもちゃの落下・転倒・積み木を投げるといった衝撃が日常的に発生する。ペット家庭では、大型犬が走り回る際の衝撃・おもちゃの落下が床への負担になる。さらに、家具の配置換えや重いものを誤って落とすケースは、どの家庭にも起こりうる。
エビデンスを持つ業者と「謳うだけ」の業者の見分け方

「耐衝撃性に優れています」「衝撃に強いコーティングです」。こうした表現を使う業者は多い。だが、その言葉の裏に実際の試験データがあるかどうかで、業者の信頼性は大きく変わる。言葉だけで試験書を開示しない業者は、性能の根拠を持っていない可能性が高い。
「謳うだけ」の業者に共通するパターン
- 「独自試験で性能を確認済み」という表現のみで、試験書の開示がない
- 試験を実施した機関名・規格番号が記載されていない
- 「業界最高水準」「他社比2倍の耐久性」など比較根拠が不明な数値を使う
- 問い合わせても「企業秘密」「社内基準」として試験データを開示しない
自社基準の試験は有利な条件を設定できるため客観性に欠ける。第三者機関によるJIS規格準拠の試験結果とは、信頼性の次元が異なる。この点を業者選びの大前提として覚えておいてほしい。
エビデンスを本当に持つ業者の特徴
- 第三者試験機関名(例:一般財団法人日本塗料検査協会等)が試験報告書に明記されている
- JIS規格番号(例:JIS K 5600-5-3)が明記されており、どの規格に基づく試験かが確認できる
- 試験条件(おもりの質量・落下高さ・試験温度・湿度)が具体的に記載されている
- 評価結果が「割れ及びはがれができない」など明確な判定文言で示されている
- 商談時に試験報告書の現物を提示できる
当社では、各製品の性能評価試験を第三者機関に依頼し、その報告書を品質・性能・機能ページで公開している。「謳うだけ」か「証明できるか」の違いは、こういった情報開示の姿勢に表れる。
実際の施工前後の変化は施工事例(ビフォーアフター写真)でご確認いただけます。
試験書で確認すべき3つのポイント

業者から試験書を受け取った際に確認すべきポイントを3つに整理した。
①JIS規格番号が明記されているか
「JIS試験クリア」という表記だけでは不十分だ。「JIS K 5600-5-3」など具体的な規格番号が明記されているかを確認する。規格番号があれば、試験条件・評価基準が公開された統一規格に基づいていることを確認できる。
②試験条件と評価結果が具体的に記載されているか
おもりの質量・落下高さ・試験温度・試験回数などの具体的な条件が記載されているかを確認する。さらに「割れ及びはがれを認めない」のような明確な評価文言があるかも重要だ。条件の記載がない試験書は再現性の検証ができないため信頼性が低い。
③第三者機関が実施しているか
試験を実施した機関が「自社」か「第三者機関」かを確認する。第三者機関の名称が明記されていること、そしてその機関が公的に認められた試験機関であることが、試験結果の信頼性を担保する最低条件だ。
耐衝撃性試験と他の性能試験との関係

耐衝撃性試験は単独で見るのではなく、他の試験結果と組み合わせて評価することが重要だ。付着性は付着性試験(JIS K 5600-5-6)で評価し、耐摩耗性・耐水性・VOC13物質はそれぞれ別の試験で評価する。複数の試験データを組み合わせることで、フロアコーティングの総合的な性能を正確に判断できる。
向くケース・向かないケース・施工前の注意点
耐衝撃性試験をクリアしているコーティングでも、施工対象や施工状況によっては性能を十分に発揮できない場合がある。
このコーティングが向く方
小さなお子様やペットがいる家庭・家具の移動が多い家庭・新築で長期間床を美しく保ちたい方に特に有効だ。衝撃リスクが高い生活環境ほど、耐衝撃性試験データの確認が施工前の必須ステップになる。
注意が必要なケース・保証対象外条件
- コルクフローリング・クッションフロア:下地の柔軟性が高すぎるため、塗膜の密着性が低下する場合がある
- 既存ワックスが厚く残っている床:ワックスの完全除去が必要で、除去不十分の場合は本来の性能を下回る可能性がある
- 施工後の水濡れ長期放置:床材の変形・腐食が生じた場合は保証対象外となる
「試験クリアなら全床材に使える」という思い込みは施工後のトラブルにつながる。床材の種類と状態を施工前に必ず確認することが先決だ。
よくある質問
- Q. フロアコーティングの耐衝撃性試験はどの規格で評価するのですか?
- JIS K 5600-5-3「耐おもり落下性」が用いられる。デュポン式が主に使われ、第三者試験機関がこの規格に基づいて実施した試験書を確認することが業者選びの重要なポイントだ。
- Q. 硬度が高いコーティングと耐衝撃性が高いコーティングは同じですか?
- 別の性能だ。硬度が高いコーティングは傷に強い一方、瞬間的な衝撃には割れやすい場合がある。ガラスが硬いのに衝撃で割れるのと同じ原理だ。耐衝撃性はJIS K 5600-5-3でしか評価できないため、引っかき硬度試験と耐衝撃性試験の両方を確認することを推奨している。
- Q. 「耐衝撃性に優れている」と言う業者の言葉を信頼してよいですか?
- 言葉だけでは判断できない。JIS K 5600-5-3の規格番号・第三者機関名・試験条件・「割れ及びはがれができない」という評価文言が明記された試験書の提示を依頼してほしい。これらが記載されていない場合は自社基準の試験である可能性が高い。
- Q. まず相談だけしてみたいのですが、費用はかかりますか?
- 相談・現地調査・お見積もりはすべて無料だ。床材の写真を送るだけでの施工可否確認も承っている。キャンセルも施工予約14日前まで無料のため、まずはお気軽にご連絡いただきたい。
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施工業者を選ぶ際の品質基準として、日本ハウスコーティング協会(JHCA)の加盟店基準も参考になります。加盟店は保証引継制度の対象となるため、万が一業者が廃業した場合も保証が継続されます。
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