フロアコーティング引っかき硬度試験|6H達成・失敗しない業者選び
この記事でわかること
- 引っかき硬度試験(JIS K 5600-5-4)の仕組みと正しい読み方
- 塗膜の硬さが床の耐傷性に直結する理由
- M&Mの全6種コーティング|第三者機関による引っかき硬度の実測値比較
- 「硬度9H」表記の落とし穴とエビデンスの確認方法
- 引っかき硬度から見た向くケース・向かないケース
フロアコーティングを検討するとき、「硬度〇H」という表記を目にしたことがあるだろう。数字が大きいほど硬く傷に強い――そこまでは理解できる。だが、その数値に根拠はあるか。第三者機関が発行した試験書(エビデンス)を確認したことはあるか。
引っかき硬度試験は、フロアコーティングの塗膜がどれだけ傷に耐えられるかを、JIS規格に基づいて数値化する試験だ。そして、JIS規格の鉛筆硬度試験における上限は6Hである。6Hを超える表記はJIS試験の範囲外となる。にもかかわらず、根拠を示さずに「9H」を謳う業者が業界には存在する。
この記事では、引っかき硬度試験の仕組みから、M&Mが一般財団法人 日本塗料検査協会に依頼して取得した全6種コーティングの実測値まで、現場の視点で解説する。床材を長く守るための正しい知識を、ここで身につけてほしい。
引っかき硬度試験(鉛筆硬度試験)とは何か

引っかき硬度試験とは、フロアコーティングの塗膜が引っかきに対してどれだけの強度を持つかを、客観的に数値化する試験だ。塗膜の「傷つきにくさ」を感覚ではなくデータで証明するために実施される。
試験の正式名称とJIS K 5600-5-4の内容
この試験の正式名称は「引っかき硬度(鉛筆法)」であり、「JIS K 5600-5-4:1999 塗料一般試験方法 第5部:塗膜の機械的性質 第4節:引っかき硬度(鉛筆法)」に準拠して実施される。
JIS(日本産業規格)は、製品の品質・性能・安全性を一定の基準で評価できるよう標準化されたルールだ。JIS K 5600-5-4に準拠した試験を経た結果であれば、試験機関が異なっても同じ基準で評価されたことを意味する。漠然とした「硬い」という宣伝文句とは、信頼性のレベルが根本から違う。
試験のしくみ|鉛筆の芯で塗膜を引っかく
試験の方法はこうだ。硬度が異なる鉛筆の芯を45度の角度で塗膜表面に当て、一定の荷重をかけながら引っかく。その後、塗膜に「凝集破壊」が生じるかどうかを確認する。
「凝集破壊」とは、塗膜の内部結合が壊れて傷がつく状態を指す。「〇Hで凝集破壊を認めない」という試験書の表記は、その硬度の鉛筆では塗膜が破壊されなかったことを意味し、そのコーティングの引っかき硬度として記録される。評価基準は「凝集破壊の有無」のみであり、主観的な判断が入り込む余地がない。これがJIS規格の信頼性を担保している理由だ。
塗膜の硬さがフロアコーティングで重要な理由

なぜ引っかき硬度がフロアコーティング選びで重要なのか。それは、床材が日常生活で受ける傷のほとんどが「点への圧力」と「線での引っかき」によるものだからだ。
日常生活で床が受ける傷の種類と硬度の関係
床が傷つく主な原因は、大きく3種類に分けられる。
| 傷の種類 | 主な原因 | 硬度との関係 |
|---|---|---|
| 引っかき傷 | ペットの爪・家具の脚・砂粒 | 塗膜硬度が高いほど線傷が入りにくい |
| 打痕・へこみ | 物の落下・家具の衝突 | 高硬度塗膜は力を分散し打痕を軽減 |
| 摩耗傷 | 日常歩行・椅子の引きずり | 高硬度塗膜は表面の摩耗速度が遅い |
硬い塗膜は、外部からの力を広範囲に分散させる性質がある。鋭利なものが当たっても、その力に抵抗して傷の深さと広がりを最小限に抑えられる。柔らかい粘土に爪を立てると跡が残るが、硬い石に爪を立てても傷がつかない――フロアコーティングの塗膜も同じ原理だ。
ペット・子育て世帯で高硬度コーティングが有効な理由
大型犬が走り回れば、爪は床に対して相当な点圧力をかける。子どもがおもちゃを引きずれば、プラスチックや金属の角が床面を引っかく。ダイニングチェアを引くたびに、脚の先端が床と摩擦する。これらの動作は、毎日繰り返される。
高硬度コーティングを施すことで、こうした繰り返しのダメージの蓄積を大幅に遅らせることができる。傷が入れば美観が損なわれるだけでなく、傷の溝に汚れが入り込み清掃性も低下する。耐傷性は見た目だけの問題ではない。
JIS規格の鉛筆硬度スケールを正しく読む

試験結果の数値を正しく解釈するために、鉛筆硬度スケールの仕組みを押さえておく必要がある。
9Bから9Hまでのスケールと身近なものとの対比
鉛筆硬度は、最も柔らかい「9B」から最も硬い「9H」まで、全19段階で表される。
| 硬度の域 | 範囲 | 身近なイメージ |
|---|---|---|
| 柔らかい域 | 9B〜B | デッサン用鉛筆・消えやすい線 |
| 中間域 | HB〜F | 一般的な筆記用鉛筆 |
| 硬い域(JIS試験範囲) | H〜6H | 製図用鉛筆・細く薄い線 |
| JIS試験範囲外 | 7H〜9H | 一般には流通していない硬度 |
フロアコーティングの引っかき硬度試験では、主にH以上の領域が評価対象となる。数字が大きいほど塗膜が硬く、傷つきにくいことを意味する。
JIS試験で6Hが上限になる理由
JIS K 5600-5-4の鉛筆硬度試験では、6Hが評価できる最高値だ。これは規格上の上限であり、それ以上の硬度を確認するには、JIS規格の試験とは別の専門試験が必要になる。
試験書に「6Hで凝集破壊を認めない」と記載されていれば、それはJIS規格の枠内で達成できる最高の結果だということだ。6Hという数値の重みを、正しく理解してほしい。
M&Mの全6種コーティング|引っかき硬度試験の実測値比較

M&Mは、取り扱う全6種類のフロアコーティングについて、一般財団法人 日本塗料検査協会に試験を依頼し、JIS K 5600-5-4に基づく引っかき硬度試験(鉛筆法)の結果を試験書として保有している。評価基準は「塗膜の凝集破壊の有無」だ。
| コーティング種類 | 引っかき硬度(鉛筆法) | 保証年数 |
|---|---|---|
| セラミックガラスコーティング | 6H(JIS規格最高値)※ | 30年 |
| Mガラスコーティング | 6H(JIS規格最高値) | 20年 |
| ワンニャンすべらんコーティング | 6H(JIS規格最高値) | 30年 |
| 水性UVフロアコーティング | 4H | 20年 |
| シリコンフロアコーティング | 4H | 20年 |
| 水性フロアコーティング(水性ウレタン) | HB | 10年 |
※セラミックガラスコーティングについては、JIS規格試験で6H(上限値)を達成後、6H超の硬度を確認するため専門機関による追加試験を別途実施し、9H相当を確認済みだ。正確な表記は「JIS規格試験6H・専門機関による追加試験で9H相当確認」となる。
セラミックガラス・Mガラス・ワンニャンすべらんの3種は、JIS試験の上限値6Hを達成している。水性UVとシリコンは4Hであり、一般的なフロアコーティングとして十分な硬度だが、ペットの爪や日常的な引っかきに対しては6H系の方が長期的な耐傷性に優れる。水性フロアコーティング(水性ウレタン)はHBであり、施工コストと安全性を優先する用途に向いている。
これらの数値はすべて、日本塗料検査協会が発行した試験結果報告書に記載された実測値だ。品質・性能・機能のページでエビデンスを確認できる体制を整えている。
「硬度9H」表記を鵜呑みにしてはいけない理由

業界を見渡すと、「硬度9H」を謳うフロアコーティング業者は少なくない。しかし、JIS K 5600-5-4の鉛筆硬度試験の上限は6Hだ。6Hを超える硬度を確認するには、専門機関による追加試験が必要になる。この事実を踏まえると、「9H」という表記には必ず根拠の確認が必要だということがわかる。
JIS規格外の9H表記が横行する実態
問題は、9Hという数値の出所が明記されていないケースが多い点だ。注意すべきパターンが3つある。
まず「第三者機関の試験書を持っていない」ケースだ。自社基準または根拠のない数値を掲載している場合がある。次に「JIS規格以外の独自基準で測定している」ケースだ。試験方法が異なれば数値の意味も変わる。そして「JIS試験で6Hを確認した後、追加試験なしに9Hと表記している」ケースも存在する。
消費者が「9H=最高品質」と受け取るのは自然なことだ。だからこそ、根拠のない数値が使われやすい。硬度の表記だけで業者を選ぶのは危険だと、現場の職人として断言する。
信頼できる業者が提示すべきエビデンスの確認方法
信頼できる業者は、試験結果を第三者機関の試験書で証明できる。確認すべき3点を挙げる。
1つ目は「試験機関の名称」だ。一般財団法人 日本塗料検査協会など、公的な第三者機関が発行した試験書かどうかを確認する。2つ目は「試験方法の記載」だ。「JIS K 5600-5-4:1999」と明記されているか確認する。3つ目は「評価基準の記載」だ。「凝集破壊の有無」という評価基準が記載されているか確認する。
これら3点が揃った試験書があれば、表記されている硬度に客観的な根拠があると判断できる。試験書の提示を断る業者、または「社内試験です」と答える業者は注意が必要だ。
引っかき硬度試験と同様に、耐摩耗性評価試験・耐水性評価試験・付着性試験についても、第三者機関の試験書での確認を推奨する。複数の性能を横断的に確認することが、業者選びの精度を高める。
引っかき硬度試験から見た向くケースと向かないケース

引っかき硬度の実測値はコーティング選びの重要な指標だが、硬度が高ければすべての状況で正解というわけではない。現場の経験から向くケースと向かないケースを整理する。
高硬度コーティング(6H)が向くケース
ペットを飼育している家庭(特に大型犬・爪が鋭い猫)、小さな子どもがいる家庭でおもちゃの引きずりが日常的な環境、ダイニングやリビングなど人の行き来が多い場所、新築・リフォーム後に長期間にわたって床材を保護したい場合が当てはまる。
高硬度コーティングが向かない・注意が必要なケース
コルクフローリングは下地が柔らかく、コーティング剤が浸透しすぎる場合があるため適さない。クッションフロアは密着性が低下する場合があり、施工前の確認が必要だ。また、既存ワックスが厚く残っている床は、完全除去が前提となり、追加費用が発生する場合がある。
保証対象外となる主な条件
施工後に床材の反り・膨らみが発生した場合(下地起因)、水濡れを長期間放置した場合は保証の対象外となる。施工前にこれらの条件を確認しておくことが、トラブル防止につながる。
よくある質問
- Q. JIS試験の上限が6Hなのに、なぜ「9H」と表記する業者がいるのですか?
- JIS K 5600-5-4の鉛筆硬度試験では6Hが評価できる最高値です。6Hを超える硬度を確認するには、専門機関による別途追加試験が必要です。追加試験を実施せずに「9H」と表記している業者は、その根拠を試験書で示せない場合があります。必ず第三者機関が発行した試験結果報告書の提示を求めてください。
- Q. 硬度4Hのコーティングは傷がつきやすいのですか?
- 4Hは一般的なフロアコーティングとして十分な硬度です。ただし、大型犬を飼育している環境や椅子の引きずりが多い環境では、6Hコーティングの方が長期的な耐傷性に優れています。ライフスタイルに合わせた選択が重要です。
- Q. 試験書(エビデンス)はどこで確認できますか?
- M&Mでは、一般財団法人 日本塗料検査協会が発行した試験結果報告書を全6種類分保有しています。フロアコーティングを検討する際は、どの業者に対しても試験書の提示を求めることを推奨します。
フロアコーティングの性能評価に関する業界基準については、一般社団法人 日本ハウスコーティング協会(JHCA)の情報も参考にしてほしい。
※本記事内の一部画像はAIで生成したイメージです。
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