床の滑り抵抗値C.S.RとC.S.R・D'値の違い|犬の安全を左右する試験の見方
「うちの子、フローリングで足を滑らせている」「この床、犬には滑りやすすぎないだろうか」。愛犬の歩く姿を見て、そう感じたことのある飼い主さんは少なくありません。
ペット向けの床材やコーティングを調べると、C.S.R値やC.S.R・D'値といった言葉を目にします。ただ、この二つが何を測っていて、どう違うのかは、意外と説明されていません。この記事では、滑り抵抗値の仕組み、人向けと犬向けの評価の違い、床材を選ぶ前に確認したいエビデンスの見方を、施工現場の視点で整理します。
この記事でわかること
- 人向けのC.S.R値と、犬足裏相当で測るC.S.R・D'値の違い
- JIS A 1454の滑り性試験の仕組みと、人の歩行の推奨値
- 犬向けの参考基準と、当社ワンニャンすべらんの実測値(0.61)
- 床材を選ぶ前に確認したいエビデンス4項目
- 賃貸でもできる、後付けの滑り対策
滑り抵抗値C.S.Rとは何か
C.S.R(Coefficient of Slip Resistance)は、床の滑りにくさを数値で示す滑り抵抗係数です。JIS A 1454(高分子系張り床材試験方法)の滑り性試験によって測定されます。
測定の考え方はシンプルです。床材の上に置いた滑り片を規定の条件で引っ張り、滑り始める瞬間の抵抗力を荷重で割って算出します。数値が大きいほど滑りにくい床、という関係です。
人が歩く床の推奨値
人の歩行を対象とした場合、日本建築学会が推奨値(案)を示しています。この推奨値は、国土交通省の建築設計標準でも、バリアフリー法のガイドラインの評価指標として位置づけられています。
履物を着用して歩く通路や出入口、階段の踏面などでは、C.S.R=0.4以上が望ましいとされています。また体育館など運動動作を行う床では、推奨値がC.S.R=0.5以上0.9以下とされています。走る、方向を変えるといった動作が加わる場所ほど、高い数値が求められる考え方です。
ただし、この数値はあくまで人の歩行を前提とした指標です。四足で歩き、爪や肉球で床を捉える犬に、そのまま当てはめられるわけではありません。
犬の歩行を評価するC.S.R・D’値とは

C.S.R・D'値は、犬の歩行を想定して測定した滑り抵抗係数です。同じJIS A 1454の枠組みの中で、犬の足裏に相当する滑り片を用いて測定します。人の履物を想定した滑り片ではなく、犬の足裏の条件に合わせている点が違いです。
「D’」の記号が示すもの
D'の「'(プライム)」については、少し補足が必要です。もともとJIS A 1454では、据置型の試験機O-Y・PSMで測った値をC.S.Rと表記します。一方、互換性のある携帯型試験機ONO・PPSMで測った場合は、C.S.R'と区別します。つまりプライムは、どちらの機器で測ったかを示す記号であり、「犬用の別の単位」という意味ではありません。
つまりC.S.R・D'値は、まったく別物の指標ではなく、JIS A 1454という同じ土台の上で、犬の歩行条件に合わせて測った滑り抵抗係数と理解するのが正確です。人向けのC.S.Rと混同しないことが大切です。
犬向けの参考基準
犬の歩行を対象とした参考基準の一例として、防滑分野の測定機関は、C.S.R・D'が0.676以上の床では、99.9%の小型犬が支障なく歩行できるとしています。これは犬向けの数値の目安を考えるうえで参考になります。
一方で注意したいのは、こうした基準値は測定機関や試験条件によって前提が異なる点です。数値だけを取り出して比べるのではなく、どの機関が、どの条件で出した値かをあわせて確認する必要があります。
なぜ人の数値だけで犬の床を判断できないのか

ここまでの内容を、犬と暮らす家の視点で整理します。人向けのC.S.Rと犬向けのC.S.R・D'値は、評価している対象が違います。
| 項目 | C.S.R(人向け) | C.S.R・D'(犬向け) |
|---|---|---|
| 想定する歩行 | 人の二足歩行(履物着用など) | 犬の四足歩行 |
| 滑り片 | 履物などを想定した滑り片 | 犬の足裏に相当する滑り片 |
| 参考にされる場面 | 建築・施設のバリアフリー基準 | ペットの歩行を想定した床の検討 |
人の履物を前提に「滑りにくい」とされた床でも、犬の足裏で歩いたときに同じ結果になるとは限りません。評価の前提が違うためです。だからこそ、犬のための床を検討するなら、犬の歩行を想定して測った数値を確認する意味があります。
逆に、人向けの数値をそのまま犬に当てはめて「安全」と判断してしまうと、実際の歩行条件とずれる可能性があります。数値の高低だけでなく、その数値が何を測ったものかを見ることが、判断の第一歩です。
📋 試験データは職人が実物とあわせてご説明します
ショールームで施工サンプルと第三者機関の試験データを職人がご説明いたします。犬の歩行を想定した仕上げも、実際にご確認いただけます。
床材を選ぶ前に確認したいエビデンス4項目
滑り抵抗値に限らず、床材やコーティングの性能をうたう数値には、確認しておきたい項目があります。現場では、次の4点をセットで見るようにしています。
- 試験規格:どのJIS規格や試験方法で測ったか。滑り抵抗値ならJIS A 1454が基準です
- 試験機関:社内測定か、第三者機関による測定か
- 対象製品:カタログの代表値か、実際に使う製品そのものの数値か
- 測定条件:乾燥状態か湿潤状態か、どの滑り片を使ったか
この4点がそろって初めて、数値を比較する土台ができます。逆に、規格も機関も条件も示されていない数値は、他社の数値と並べても意味のある比較になりません。
当社製品での測定例
参考として、当社のワンニャンすべらんフロアコーティングでは、JIS A 1454:2022に準拠し、犬足裏に相当する条件で測定した犬足裏相当C.S.R・D'値が0.61という結果を得ています。これは犬の歩行条件を想定して測った実測値です。
先に挙げた小型犬向けの参考基準(0.676以上)とは、測定機関も試験の前提も異なります。そのため、この二つの数値を単純に並べて優劣を判断することはできません。あくまで、それぞれ別の条件で得られた別の数値として扱うのが正確です。
数値を見るときは、こうした前提の違いまで含めて確認することをおすすめします。ワンニャンすべらんの詳しい仕様はワンニャンすべらんフロアコーティングのページで確認できます。
愛犬のための滑り対策の選択肢
床の滑りが気になる場合、対策にはいくつかの方向性があります。それぞれ向き・不向きがあるため、住まいの条件に合わせて選びます。
フロアコーティング
既存のフローリングに滑りにくさを付与する方法として、フロアコーティングがあります。滑り対策だけでなく床の保護にもつながる一方、費用は後付けのマット類より高くなります。持ち家で長期的に使う場合や、犬の歩行を想定した仕様を選びたい場合に検討する選択肢です。無垢床の滑り止め対策のように、床材によって適した工法が変わる点にも注意が必要です。
後付けのマット・カーペット
床材を変えられない賃貸住宅などでは、滑り止めマットやカーペットが手軽な選択肢です。汚れた部分だけ交換できるジョイントマットなどは、犬と暮らす家でも扱いやすい方法です。ただし部分的な対策になるため、部屋全体の滑りやすさが変わるわけではありません。
日常のケアも対策の一部
床の対策とあわせて、犬自身の足元のケアも滑りにくさに関わります。肉球のまわりの毛が伸びていたり、爪が伸びすぎていたりすると、床を捉える力が落ちます。定期的なケアも、対策の一部として考えておくとよいでしょう。犬と暮らす家全体の床の考え方は、犬・猫と暮らす家のフロアコーティング完全ガイドもあわせてご覧ください。
まとめ
床の滑り抵抗値C.S.Rと、犬の歩行を想定したC.S.R・D'値は、まったく別の指標ではなく、JIS A 1454という同じ枠組みの上で、評価する対象を変えて測ったものです。人向けの数値と犬向けの数値は前提が違うため、そのまま置き換えて判断することはできません。
床材やコーティングの数値を見るときは、試験規格、試験機関、対象製品、測定条件の4点をあわせて確認することが大切です。数値の高低だけでなく、その数値が何を測ったものかを見ることが、愛犬のための床選びの確かな判断材料になります。
よくある質問
- Q. C.S.R値とC.S.R・D'値は別々の試験ですか?
- まったく別の試験ではありません。どちらもJIS A 1454の滑り性試験の枠組みで測定します。違いは、人の歩行を想定した滑り片で測るか、犬の足裏に相当する滑り片で測るかという点です。
- Q. ワンニャンすべらんの犬向けの滑り抵抗値はどのくらいですか?
- JIS A 1454:2022に準拠して測定した犬足裏相当C.S.R・D'値が、0.61という結果です。ただし測定機関や試験条件が異なる他の数値とは、前提が違うため単純には比較できません。
- Q. 数値が高い床ほど犬にとって安全と考えてよいですか?
- 数値は判断材料の一つですが、それだけで安全と断定はできません。同じ数値でも、測定した機関や試験条件、対象製品が違えば前提が変わります。どの規格・機関・条件で測ったものかをあわせて確認することをおすすめします。
- Q. 賃貸でも滑り対策はできますか?
- できます。床材を変えられない場合は、滑り止めマットやカーペットが手軽な選択肢です。部分的な対策になりますが、犬がよく歩く場所に敷くことで負担を減らせます。
理想の住まいを、プロの技術で。
実際にコーティングされた床を見てみたい。自宅の床材でどれくらい変わるのか知りたい。
ぜひ無料見積もりやショールーム見学をご利用ください。
お電話でも受付中: 0120-652-652(9:00~17:00)
Contact
当社サービスについて、サンプル・資料請求、お見積り、その他…
お気軽にお問い合わせください。
tel.0120-652-652
お電話受付時間:9:00〜18:00
※年末年始・GW・夏季休暇を除く
WEBからのお問い合わせ